2017.8.8
4月。ブルックリンで、ジョナス&セバスチャンに会ってきました。
3月に京都・誠光社で行った、映画&その場小説のライブイベントの報告が目的です。
「その場翻訳」してくれた、ボニーと、娘のルル。父親のトムもいっしょに。
なんと、ジョナスとセバスチャンの家の目の前に、ボニーの旦那さんの妹が住んでいる、とのこと。
「あれ!」と指差すボニー。
玄関のインターフォンを鳴らすと、ジョナスがいつものように、別の入り口から現れて出迎えてくれました。
エレベーターを降りると、息子のセバスチャンと、猫のパイパイが待ってくれています。
プレゼントの花を花瓶にさすジョナス。
ジョナスは1922年生まれで、94歳。
ボニーの父親のトムは、1931年生まれで86歳。
ふたりとも元気そうです。
3月のライブの様子は、トレーシングペーパーに印刷した作品として持っていきました。左側にいしいしんじの文。右側にボニー・エリオットの翻訳。
記録映像を別の紙に印刷して、それがすけて見えるようになっています。
「ミラクルな時間だった」というボニーの話に耳を傾けるジョナスとセバスチャン。
「読むのではなく、見させてもらうよ」と言いながらページをめくりはじめたジョナス。ですが、1枚1枚、とても丁寧に「読んで」くれました。
読み終えて微笑むジョナス。カッキーも嬉しそうです。
エリオット家からのおみやげのチョコレートを選ぶジョナス。選んでいるときの楽しそうな表情が心に残りました。
「ルルにフィルムを編集する様子を見せてほしい」というお願いにこたえて、仕事場に案内してくれるジョナス。
手回し編集機がまわります。
お母さんのポートレイトがいつも目に入る場所に。
はじめてフィルムの映画をみるルル。
手回し編集機を見せてくれたあと、居間に戻ったジョナスは、ポケットから小さなカメラを取り出しました。ニコンのコンパクトなムービーカメラ。
最近は、これで録画しているそう。
このあと、トレーシングペーパーの作品にサインしてもらいました。
そして、京都の、しんじにメッセージ。
「いろんな場所から、このブルックリンにみんなが集まってきた。そして、この場所で、みんなが君のことを思っている。だから、みんなは君といっしょにいる。いま、長野の酒がここにあって、遠からずこのお酒の蓋も開くだろう。カンパイ」
みんなで乾杯。
この後、ボニーとトムに、ジョナスは「I Had Nowhere to Go」をプレゼントしてくれました。「ごめん。君には何もあげるものがなくて・・・」といったルルには・・・。
ハグをくれました。
ありがとう。ジョナス。セバスチャン。
2017.3.8
3/12(日)PM8:00〜 京都・誠光社で、映画×小説のスペシャルライブを実施!
ブルックリンに暮らすジョナス・メカス。京都に暮らす、いしいしんじ。
1922年生まれの映像作家と、1966年生まれの小説家。
3月の夜、ふたりの「かけら」が混じり合います。
ジョナス・メカスは『リトアニアへの旅の追憶』(1971-1972)などの作品で知られる映像作家・詩人です。
ナチスに故国を追われた彼は、たどりついたニューヨークで16ミリのぜんまい式カメラを手に入れ、日常の風景を撮りはじめました。
「アンダーグラウンド・シネマの父」とも言われるメカスは、95歳になる現在も映画を撮り続け、自身のホームページに作品をアップし続けています。
今回は、2012年の新作『幸せな人生からの拾遺集(Outtakes from the life of a happy man)』の上映とあわせて、いしいしんじが「その場小説」を執筆。
その場小説は、ブルックリンに住むボニー・エリオットが「その場翻訳」します。
時と時、空間と空間、夜と朝をつなぐスペシャルライブ。ご期待ください。
【誠光社】
http://www.seikosha-books.com/event/2097
【当日、YouTube Liveで配信予定!】
https://youtu.be/zZqHLMitznA
ディレクション/岡本零(Rocca Spiele)
2011.5.20
ジョナス・メカスさん宅訪問記の続きです。
カメラをこちらに向けて、
「どうしてあなたがたはニューヨークに来たのか?」
とたずねるメカスさん。
「RoccaがNew York ADCでシルバープライズを受賞して、授賞式と展覧会のために」とこたえると、
「コングラチュレーションズ!! 本当にすばらしい!!」と喜んでくれました。
大久保兄弟の力作Rocca Movieを見ていただいているところ。
さて、その後、プレゼントをいただいたのですが、ひとつが『Sleepless Night Stories』と題された彼の新作映画のDVD(!!)。
もうひとつが『Keep Singing』と題されたCD&DVDセットです。
「Keep Singing?」とたずねると、
「そう、なにも特別なことじゃない」と、
いきなりリトアニアのラッパをとりだして吹き始めるメカスさん。
吹き終わると、他のラッパ、そしてアコーディオンを演奏。
う〜ん。楽しい!
「僕も弾いてもいいですか?」
「もちろん!」
というわけで、弾きました。
弾き方は分からないけれど、楽しいなぁ。
あれ。
弾いているうちに、いつのまにか、一瞬、子供にかえってしまっていたようです。。。
それからメカスさんの仕事場を見せていただきました。
16ミリフィルムを手でまわしながら編集する機械。
糸をつむぐように、右手でゆっくりとフィルムを巻き取りながら、左手で微調整をしてコマを送ります。
黒い小さなボックスの奥に映し出される映像が本当にうつくしい。写真を見ているのか、映画をみているのか、その間隙をみているのかが揺れ動きます。
その後、近くのイタリアンにいっしょにランチにいきました。お昼から白ワインをオーダーするメカスさん。
これからの予定を聞くと、来月は新作映画の公開でベルリンへ、それからスペインへ、そして・・・とのこと。
「元気ですね」というと
「Keep dancing, keep singing, have a good drink and do not get too serious!」
とのこたえがかえってきました。
メカスさんのアパートメントの前で3人で記念撮影。
さよならする時、もより駅までの道順を説明してくれながら、メカスさんはムービーをまわしていました。
その時、突風が吹いて、メカスさんと僕らのあいだを、黒いゴミ袋が青空に舞い上がっていきました。
「Oh! Bye Bye!」と、空にカメラを向けるメカスさん。
見上げると、ちょうどそこに、ブルックリンの空を飛んでいく飛行機が。
「Oh! Air plane! It’s funny!!」
と喜んでいるメカスさんの様子は、まるで子供のようで、その数秒間が幸福な奇跡のように思えました。
2011.5.19
5月10日、NY ADC AWARDSの前に、映像作家・詩人のジョナス・メカスさんに会いにブルックリンへ行きました。
昨年の3月に伺った時は息子のセバスチャンもいっしょだったのですが、今回彼はグルジアに仕事で行っていて、メカスさんが直接出迎えてくれました。
「アメリカ・アンダーグラウンド・シネマの父」とも言われるメカスさんは、1922年生まれ。ということは88歳(!)なのですが、
「6月には新作映画の公開でベルリンへ。7月にはスペイン、8月は。。。」と、すばらしいバイタリティーです。
オフィシャルサイトでは、「映像日記」やこれまでの作品などを見られます。
さて。
前回うかがった時もヒゲと帽子で盛り上がったのですが、今回は自宅に着くなりメカスさんが緑色のかぶりものを!
さらにダリ髭を!!
すごいなぁ。このかわいらしさと自由さ。
チューリップの花束と、カッキーがデザインした日本酒「人気一」をおみやげに持っていきました。
カッキーがお酒を風呂敷の「花包み」でくるんでみせます。
メカスさん、最初は「いっしょに飲みましょう」と言っていたのですが、包んで見せると、
「これはとても美しい。一度ほどいてしまうと自分では包めないから、セバスチャンが帰ってきたら見せたい。それから息子とふたりで飲んでもいいか?」と相談。
「もちろん!」ということで、テーブルのチューリップと並べました。
*ちょっと長くなるので、「次回に続く」で。